元々自衛官の募集は国が行うべきものですが、地方自治法により国の代わりに地方自治体などがこうした役割を担うことになる法定受託事務の1つです。
本格的な整備が行われたのは昭和53年です。
自衛官募集相談員はそれまでは個々で自衛官の募集を行っており、それぞれで成果を出していた一方で機能しているとは言えないエリアもあり形骸化の指摘もなされていました。
昭和53年に定められたのは自衛官募集相談員の選定基準です。
選定基準では、防衛問題および自衛隊に関心を持っていることや地元の事情に精通しており熱意のある募集協力を期待しえる個人かどうかが問われています。
つまり自衛隊に対する理解があり、地元のことをよくわかっている協力者であることを示せれば自衛官募集相談員になる可能性は高いです。
人員に関しては1つの地域で集中することを避け、公立中学校の区域を基準とし1つの区域に1人の感覚で選定していくことが設けられています。
自衛官募集相談員の実際の仕事ですが、募集のための環境づくりがポイントです。
広報官が活動できるようその拠点を提供することや激励、協力者の紹介やポスターの掲示の支援なども行っていきます。
また募集情報の提供も仕事の1つです。
自衛官になることを希望する人を紹介したり、対象となる人物の情報を提供したりしています。
募集活動を直接的に支援することも仕事に含まれており、広報官に同行して直接本人に対して説得を行うことや入隊を予定している人に対する激励などもその一環です。
一方で新たに自衛官募集相談員を希望する人や実際に始めた人などに対する研修も行っていきます。
「必須研修会」と呼ばれ、自衛隊の支援の妨げにならないよう知識を入れていき会員として活動するための教育を受けます。
必須研修会では広報官が足を運び、直接話を聞き疑問点などを解消させていくのがポイントです。
また自主的に研修会を開くケースも見られます。
この場合は自分たちで自衛隊の部隊を見学しに行き、実際の様子をチェックしてその内容を入隊を検討している学生などに話すような形です。
最も重要なのはその地域の首長に対して説明をしていくことです。
防衛省からは毎年防衛白書が出されて、日本における防衛の状況などが示されます。
その防衛白書を通じて、首長に対して説明を行っていきます。
これらのことは広報官などが行うこともありますが、そこに同席をして一緒に話をするのも大事な仕事です。
仮にこうした相談員になるということは、それなりの説得力がなければ成立しないことは首長への説明に同席することなどを考えても明らかです。
またこの仕事で給料は発生せず、あくまでも本業とは別のところで活動していかなければなりません。
つまり、ボランティアで行う必要があるためたいていの場合は自営業の人などが率先して引き受けていたり定年を迎えた人などが中心です。
長年この大役を務めることにより国から褒章をもらうこともありますが、金銭的な恩恵はこの仕事を通じて得られることはまずありません。そのあたりの理解があるかどうかも重要なポイントです。
自衛官になる人が地元から1人でも多く出るように、活動がなされています。
自信を持って活動をしていくためには説得力のある言葉が求められ、研修も重ねていかないと耐えられません。
ボランティアでも積極的にこうした役割を担いたいと考える人は、国のため地域のためになればという思いの人がほとんどです。
そのためにも普段から地域に貢献していくことが求められます。